■開催日／平成21年12月20日（日） ■会　場／リーパスプラザ（古賀市中央公民館）

■開催日／平成21年12月20日（日）

■会　場／リーパスプラザ（古賀市中央公民館）

　古賀市は文化芸術を活かした住みよいまちづくりを進めている。一人ひとりの市民が文化芸術振興の担い手…

　古賀市は文化芸術を活かした住みよいまちづくりを進めている。一人ひとりの市民が文化芸術振興の担い手であり、市民の身近なところにいつも文化芸術があり、気軽に参加したり鑑賞できることが心豊かな市民生活の実現と活力ある地域社会の形成に寄与すると考えるからである。

　この取り組みの一つとして平成２０年度から「ふくおか県民文化祭特色ある県民文化創造事業」を活用し、…

　この取り組みの一つとして平成２０年度から「ふくおか県民文化祭特色ある県民文化創造事業」を活用し、市民の主体性を発揮し自立した市民劇団の設立を目指した。今年度はその２年目として、この９月、前回から参加しているメンバーを中心に、９月に小学２年生から７２歳の市民３０人で市民劇団「DAICOON（ダイコーン）」を立ち上げた。本番を１２月とし、演目は「オズの魔法使い」をベースにしながら設定を大胆に古賀版に変更した上で、音楽もオリジナル曲を使用し題名を“舞里の不思議な大冒険”とした。

　劇団を立ち上げた後の本番までは苦悩の連続であった。公演数週間前になると練習の遅れ、道具や衣装も不十分、いくらチラシを配ってもチケット販売は不振、協賛金・賛助会員は思うように集まらない状況は大きなプレッシャーの係る日々であった。今、華やかな舞台を終えたが、舞台のできばえ、団員の強く暖かい結束、収支どれをとっても大きな安堵とともに古賀市の新たな財産となっている。

　“舞里の不思議な大冒険”は朝夕の２公演で６００人を超す来場者があった。「特色ある県民文…

　“舞里の不思議な大冒険”は朝夕の２公演で６００人を超す来場者があった。「特色ある県民文化創造事業」ということで、古賀らしさを打ち出すことを意識し、登場人物の名前や地名、言葉使い等古賀ローカル色を強く打ち出せるように取り組んだ。

　観客の代表的な感想は、「面白かった、また来るけんね。」である。出演者の感想は「市民みんなが応援してくれていることが肌で感じられた」「知らない人から感動したと声をかけてもらい自分の方が感動した」という感想が多かった。劇団員の保護者からは「子どもに積極性と向上心が出てきて自分の意見を言うようになった」という声も聞かれた。ユニークな感想としては、周りから「良かった。面白かった。」と口々に声をかけられ、「それなら自分も見てみたいから、次は出ない」と言い出した子どもがいて関係者の苦笑を誘った。また、設定を大幅に変更したため、古賀にあまりなじみがない観客からは「わかりづらい」という率直な感想もあった。

　今市民からの次回公演への大きな期待を感じている現状であるが、古賀らしい特色ある文化活動を行いながら多くの人の共感を得られるような力量の向上を図って行きたい。

　公演のサポート活動は、昨年に引き続き、市民で作る文化ボランティア「古賀市文化のまちづくりの会」が行った。公演の質が上がり、多数の観客と接することで、ボランティアも力量と意欲が上がっており、引き続き市民による文化活動のサポートの定着を図りたい。

　古賀市は平成２０年度に「古賀市文化芸術振興条例」を制定し文化芸術の振興を図るにあたり、「市民」の…

　古賀市は平成２０年度に「古賀市文化芸術振興条例」を制定し文化芸術の振興を図るにあたり、「市民」の役割を「自らが文化芸術の担い手であることを自覚し、その活力と創意を活かして、文化芸術活動の自主的かつ創造的な活動に努める」と規定し「民間団体等」の役割は「社会の一員であるとの認識の下、自主的に文化芸術活動を行うとともに、市民の文化芸術活動の支援に努める」と規定した。市民劇団に集まった市民や設立までの経過は正に条例の目的と一致したものである。

　今回の市民ミュージカル“舞里の不思議な大冒険”は公演の成功に加えてテレビ出演という貴重な経験をすることができた。NHKの番組「ぐるっと８県九州沖縄」教えてふるさと自慢は真剣な練習風景や本番当日の様子をVTRで収録した上で、団員４人が生放送に出演し、他の団員もスタジオに招待された。出演時間は１０分程もあり、劇団誕生から練習・本公演の様子、団員の紹介と併せて古賀市も一緒に紹介された。学校は冬休み中だったので、多くの友人等が視聴することができ、これは団員やその家族、行政も含め大いに士気を高めることになった。さらに、鹿児島で「テレビを見た」方から激励の電話をいただき、驚きと感動の経験であった。

　私たちは３年をかけて市民劇団の設立を目指していたが、「DAICOON」は関係者の熱い思いや市民の応援によって２年で誕生することになった。このため、経験不足によって様々な困難な局面と向き合うことになったが、逆に難題を乗り越えて行くなかで大家族のような絆を育てていった。

　文化を定着させていくには時間がかかり、多くの努力が必要である。「DAICOON」という名前は、古賀市を流れる一番大きな川「大根川」のように確かな存在を目指すとともに、大根のようにしっかりと地に根を張るという二つの決意を込めて命名された。

　これからも劇団旗揚げの初心を大事にしながら、文化芸術の担い手として市民による舞台芸術の魅力的な活動を市として支援していきたいと思う。